― R ’s Bar ― 癒し系バーの威圧系バーテンダーのつぶやき・・・
『詳説・テキーラについて』 ■Tequila(英)テキーラ ■テキーラの歴史と語源 テキーラは竜舌蘭(リュウゼツラン)というヒガンバナ科に属する多肉植物の一種を原料とし、 その茎を糖化、発酵、蒸留してつくられる。 竜舌蘭のことをメキシコではマゲイ(Maguey)あるいは、 植物学者リンネの命名に従いアガベ(Agave)と呼んでいる。 そして竜舌蘭のうち、酒の原料として使われるものは、 大別して アガベ・アメリカーナ(Agave Americana)、 アガベ・アトロビレンス(Agave Atrovirens)、 アガベ・アスール・テキラーナ(Agave Azul Tequilana) の3つの品種になる。 このうち、アガベ・アメリカーナとアガベ・アトロビレンスは その樹液を糖化、発酵したものをプルキ(ケ)(Puluque)といい甘いジュースを飲まれる。 それにあきたらないで、蒸留し、このマイルド・プルキ(ケ)からメスカル(Mezcal,Mescal)をつくる。 プルキ(ケ)はトルテカ、アステカ文明時代から土着の人々の間で飲用されてきた酒で、 現在ではメキシコシティ周辺の中央高地地帯で広く飲まれている。 メスカルは、プルキ(ケ)生産地より海抜が低く、温度の高い地帯でつくられている。 アカプルコなど南部メキシコの太平洋岸一帯と、メキシコシティ以北の中部メキシコが主産地である。 以北の中部メキシコが主産地である。 なお、メキシコに蒸留技術が伝わったのは、 16世紀にこの地に来たスペイン人によってであるといわれている。 これらに対して、 テキーラはハラ(リ)スコ州(Jalasco , Jalisco)のテキーラ村周辺特産の アガベ・アスール・テキラーナという品種を原料にした上等なメスカルを 生産地にちなんでテキーラという。 この品種は、1902年に植物学者ウェーバーによって竜舌蘭の一品種として認定されたもので、 メキシコ第二の都市、グァダラハラ近くのテキーラ町周辺の特産品種である。 一説によると18世紀半ば頃(スペイン当時時代)、 メキシコ西北ハリスコ州、テキーラ村にほど近い、アマチタン村の地で大きな山火事があり、 焼け跡には黒焦げになったマゲイ(竜舌蘭)がゴロゴロ転がっていた。 周り一面に漂う芳香を不思議に思った村人が、 そのひとつを押しつぶしてみると、中からチョコレート色の汁が滲み出し、 それをそっと舐めてみると上品な甘さがあった。 マゲイの株の成分が山火事の熱で糖質に変わったのだった。 スペイン人はこの汁を絞って発酵させ、蒸留し、無色のスピリッツをつくった。 その後、蒸留工場は良質のマゲイを求めてテキーラ村に移り、ここがメスカルの本場となる。 テキーラの近代的な蒸留が始まったのは1755年である。 また、メスカルが初めて国境を越えたのは1873年といわれている。 1902年ウェーバーの認定以降、このアガベ・アスール・テキラーナでつくるメスカルは、 テキーラ(Tequila)という名で呼ばれるようになった。 以前よりテキーラやメスカルはしばしば唐辛子を放り込まれ飲まれていたが、 致酔の効が最もすごいといわれている。 1958年、ロカビリー曲「テキーラ」がわが国でも流行し、 著しくこの酒が有名になった。 世界的に広く知られるようになったのは、1968年のメキシコオリンピックからである。 テキーラの製造方法 アガベ・アスール・テキラーナは、生育に8から10年ほどかかる。 葉が青緑色をしているところからアスール(Azul:「青い」スペイン語)の名がついている。 生育したら葉を削ぎ落とし、直径70~80cm、重さ30~40kgになった球茎を掘り起こす。 これはパイナップルの実を丸くして、何十倍にも大きくしたような形状をしている。 畑から運ばれた球茎は、工場で半分にしてから蒸気釜に入れる。 (以前は石室で蒸気蒸しにしていた。) こうすると、茎に含まれているでんぷんやイヌリンのような多糖類が分解(糖化)される。 それをローラーにかねて粉砕し、圧搾し、さらに温水をかけて残った糖分を十分に搾り出す。 旧来は、石臼をロバにひかせて押し潰していたものを粕ごと発酵させていたが、 現在は、糖汁液だけを取り出し、タンクに移して発酵させる。 蒸留は単式蒸留器で2回行なわれ、2回目の中溜部分だけをとって50~55度のよう溜液を得る (55度以上で溜液をとることは、法的に禁じられている。) 溜液はウォッカと同様に炭層を通して雑味を除いてから、 ステンレス・タンクあるいはオーク樽に移す。 ステンレス・タンクに移されたものは、短期貯蔵の後、加水して製品化される。 シャープな香りがあり、テキーラらしい特徴を一番備えている。 こうしたタイプを現地では、テキーラ・ブランコ、英語圏ではホワイトテキーラと呼んでいる。 次にオーク樽に移されたものは、しばらくの間、樽熟成のときを過ごす。 2ヶ月以上樽熟成すると、 ゴールドテキーラ、別名テキーラ・レポサド(Tequila Reposado)というタイプになり、 わずかに黄色を帯び、ほのかに樽香も含んでいる。 オーク樽で1年以上熟成したものは、 テキーラ・アネホ(Tequila Anejo)と呼ばれ、 樽の香りが加わり、テキーラ独特の強靭さや鋭い芳香が薄く、まろやかな風味を特徴としている。 テキーラの法的規制 メキシコ政府の規制によると、 テキーラの原料はアガベ・アスール・テキラーナ以外使用してはいけないことになっている。 もし、アガベ・アスール・テキラーナ以外のアガベを使ったものは、 メスカルとして売らなければならない。 但し、テキーラには、アガベ・アスール・テキラーナ由来のアルコールを51%以上含めばよく、 残り49%以下は砂糖由来のアルコールでもかまわない。 従って、メーカーによっては、 100%アガベ・アスール・テキラーナを使ったテキーラを出しているところもあれば、 砂糖を副材料に使ったテキーラを出しているメーカーもある。 また、テキーラの主産地は ハリスコ州、 ミチョアカン州、 ナヤリット州、 ガナファト州、 タマウリパス州 に限定されている。 そのため、これらに隣接する カサテカス、 ドゥランゴ、 サン・ルイ・ポトシ各州で アガベ・アスール・テキラーナからつくる蒸留酒は、 ピノス(Pinos)という名で売られている。
■Tequila(英)テキーラ ■テキーラの歴史と語源 テキーラは竜舌蘭(リュウゼツラン)というヒガンバナ科に属する多肉植物の一種を原料とし、 その茎を糖化、発酵、蒸留してつくられる。 竜舌蘭のことをメキシコではマゲイ(Maguey)あるいは、 植物学者リンネの命名に従いアガベ(Agave)と呼んでいる。 そして竜舌蘭のうち、酒の原料として使われるものは、 大別して アガベ・アメリカーナ(Agave Americana)、 アガベ・アトロビレンス(Agave Atrovirens)、 アガベ・アスール・テキラーナ(Agave Azul Tequilana) の3つの品種になる。 このうち、アガベ・アメリカーナとアガベ・アトロビレンスは その樹液を糖化、発酵したものをプルキ(ケ)(Puluque)といい甘いジュースを飲まれる。 それにあきたらないで、蒸留し、このマイルド・プルキ(ケ)からメスカル(Mezcal,Mescal)をつくる。 プルキ(ケ)はトルテカ、アステカ文明時代から土着の人々の間で飲用されてきた酒で、 現在ではメキシコシティ周辺の中央高地地帯で広く飲まれている。 メスカルは、プルキ(ケ)生産地より海抜が低く、温度の高い地帯でつくられている。 アカプルコなど南部メキシコの太平洋岸一帯と、メキシコシティ以北の中部メキシコが主産地である。 以北の中部メキシコが主産地である。 なお、メキシコに蒸留技術が伝わったのは、 16世紀にこの地に来たスペイン人によってであるといわれている。 これらに対して、 テキーラはハラ(リ)スコ州(Jalasco , Jalisco)のテキーラ村周辺特産の アガベ・アスール・テキラーナという品種を原料にした上等なメスカルを 生産地にちなんでテキーラという。 この品種は、1902年に植物学者ウェーバーによって竜舌蘭の一品種として認定されたもので、 メキシコ第二の都市、グァダラハラ近くのテキーラ町周辺の特産品種である。 一説によると18世紀半ば頃(スペイン当時時代)、 メキシコ西北ハリスコ州、テキーラ村にほど近い、アマチタン村の地で大きな山火事があり、 焼け跡には黒焦げになったマゲイ(竜舌蘭)がゴロゴロ転がっていた。 周り一面に漂う芳香を不思議に思った村人が、 そのひとつを押しつぶしてみると、中からチョコレート色の汁が滲み出し、 それをそっと舐めてみると上品な甘さがあった。 マゲイの株の成分が山火事の熱で糖質に変わったのだった。 スペイン人はこの汁を絞って発酵させ、蒸留し、無色のスピリッツをつくった。 その後、蒸留工場は良質のマゲイを求めてテキーラ村に移り、ここがメスカルの本場となる。 テキーラの近代的な蒸留が始まったのは1755年である。 また、メスカルが初めて国境を越えたのは1873年といわれている。 1902年ウェーバーの認定以降、このアガベ・アスール・テキラーナでつくるメスカルは、 テキーラ(Tequila)という名で呼ばれるようになった。 以前よりテキーラやメスカルはしばしば唐辛子を放り込まれ飲まれていたが、 致酔の効が最もすごいといわれている。 1958年、ロカビリー曲「テキーラ」がわが国でも流行し、 著しくこの酒が有名になった。 世界的に広く知られるようになったのは、1968年のメキシコオリンピックからである。 テキーラの製造方法 アガベ・アスール・テキラーナは、生育に8から10年ほどかかる。 葉が青緑色をしているところからアスール(Azul:「青い」スペイン語)の名がついている。 生育したら葉を削ぎ落とし、直径70~80cm、重さ30~40kgになった球茎を掘り起こす。 これはパイナップルの実を丸くして、何十倍にも大きくしたような形状をしている。 畑から運ばれた球茎は、工場で半分にしてから蒸気釜に入れる。 (以前は石室で蒸気蒸しにしていた。) こうすると、茎に含まれているでんぷんやイヌリンのような多糖類が分解(糖化)される。 それをローラーにかねて粉砕し、圧搾し、さらに温水をかけて残った糖分を十分に搾り出す。 旧来は、石臼をロバにひかせて押し潰していたものを粕ごと発酵させていたが、 現在は、糖汁液だけを取り出し、タンクに移して発酵させる。 蒸留は単式蒸留器で2回行なわれ、2回目の中溜部分だけをとって50~55度のよう溜液を得る (55度以上で溜液をとることは、法的に禁じられている。) 溜液はウォッカと同様に炭層を通して雑味を除いてから、 ステンレス・タンクあるいはオーク樽に移す。 ステンレス・タンクに移されたものは、短期貯蔵の後、加水して製品化される。 シャープな香りがあり、テキーラらしい特徴を一番備えている。 こうしたタイプを現地では、テキーラ・ブランコ、英語圏ではホワイトテキーラと呼んでいる。 次にオーク樽に移されたものは、しばらくの間、樽熟成のときを過ごす。 2ヶ月以上樽熟成すると、 ゴールドテキーラ、別名テキーラ・レポサド(Tequila Reposado)というタイプになり、 わずかに黄色を帯び、ほのかに樽香も含んでいる。 オーク樽で1年以上熟成したものは、 テキーラ・アネホ(Tequila Anejo)と呼ばれ、 樽の香りが加わり、テキーラ独特の強靭さや鋭い芳香が薄く、まろやかな風味を特徴としている。 テキーラの法的規制 メキシコ政府の規制によると、 テキーラの原料はアガベ・アスール・テキラーナ以外使用してはいけないことになっている。 もし、アガベ・アスール・テキラーナ以外のアガベを使ったものは、 メスカルとして売らなければならない。 但し、テキーラには、アガベ・アスール・テキラーナ由来のアルコールを51%以上含めばよく、 残り49%以下は砂糖由来のアルコールでもかまわない。 従って、メーカーによっては、 100%アガベ・アスール・テキラーナを使ったテキーラを出しているところもあれば、 砂糖を副材料に使ったテキーラを出しているメーカーもある。 また、テキーラの主産地は ハリスコ州、 ミチョアカン州、 ナヤリット州、 ガナファト州、 タマウリパス州 に限定されている。 そのため、これらに隣接する カサテカス、 ドゥランゴ、 サン・ルイ・ポトシ各州で アガベ・アスール・テキラーナからつくる蒸留酒は、 ピノス(Pinos)という名で売られている。